トリュフオイルを買った。
まあここまで言えば落ちが想像つくと思うが、焼きシイタケにトリュフオイルをかけて食べたのである。
しいたけといえば出汁。しいたけと言えばうまみ。しいたけといえばグルタミン酸。
たとえ「匂いが嫌い」「触感が嫌い」「子供が嫌う食材一位」といわれても、しいたけのうま味だけは否定できなかったはずだ。
ところがトリュフオイルである。
しいたけはせせら笑ったであろう。西洋松露などにうまみがあるかと。うまみを見つけたのは我々日本人でありしいたけであると。西洋松露など香りだけの存在であうまみにおいては自分が勝ると。
ところがトリュフオイルが断然うまかった。
口の中でしいたけは敗北を悟った。自分のものであったうま味はトリュフオイルに奪われる。自分の汁もトリュフオイルのものになる。しいたけなのにトリュフオイルうめーとか言われる。舌触りも全部トリュフオイル。
世界三大珍味の前にしいたけは敗北するしかない。奪われる自身の「うまみ」というアイデンティティを前になにもできるはずがない。毎年マツタケの香料をまぶされるエリンギ以下である。なぜならエリンギは歯ごたえだけはマツタケに似てると認められてるからだ。
今しいたけに認められているのはなんだ。ただキノコであるという一点である。いや、しょうゆや黒コショウやレモン汁より存在感が薄いかもしれない。なぜならゆでたカブやブロッコリーまで美味しく食されているからだ。カブやブロッコリーよりしいたけのレーゾンデートルがない。
しいたけの尊厳を奪うには、まずホイルの上に置いてオーブントースターで火が通るまで焼く。なにもかけなくていい。そして焼けたらトリュフオイルを垂らす。醤油も少し。これでしいたけのすべての尊厳が奪われるレシピができます。
お好みで黒コショウ、レモン汁など追加するとよいと思います。醤油でなく塩で味付けてもいいですね。以上しいたけの尊厳を奪うレシピでした。