抜け毛闘争

女のくせに抜け毛に悩んでいる。

もともと、わたしの家系には呪いがあった。

「我が血筋に生まれし男、すべて四十までにハゲる」

そういう呪いである。

いやもうこの呪いから逃げおおせたものはいない。ただ一人としていない。親戚が集まるとその話ばかりしている。リアップも紫電改も章光101もミノキシジルもだめなもんはだめだそうだ。人間は打たれ強くなるものか、年をとるとうれしそうに「あれもだめだったこれもだめだった」と語っているから不思議なものである。

もっとも聞かされてる若い男はたまったものではなかろうが。

さらにこの呪いのキツいところは、若いときはホウキみたいな頭だということである。つむじがなくて髪の量が多く、ぼうぼうに伸びていくから重力に逆らって上へ伸びていくのだ。

これが、四十を過ぎると、砂漠化する。

もっともこの呪いと引き換えに、「アレルギーにかからない」「免疫力が嘘みたいに高い」「蚊に刺されても半日くらいで治る」「死ぬときはほぼ老衰」というありがたい特性も持ち合わせている。

法事でいった店でノロが出たのに親族全員ぴんぴんしていたと聞いた時には我が血族ながら驚いた。同じもの食べた人たちは七転八倒上から下から大変だったそうだ。

さて、じゃあ女には関係ないか、というと、アレルギーと免疫力に対しては恩恵をもらっている。いいところだけとってるのか畜生というが、問題はある。

冒頭でもいったが、抜け毛がバカみたいに多いのだ。

いやもう自分の髪ながら毎日やたら抜けていていやになる。枕にすごい抜け毛だ。朝起きて髪を集めて捨てて、がモーニングルーティンの開始だ。毎日掃除をしているのにごっそり髪の毛が集まってくる。私しかいない部屋なのに。

そのかわり、抜けた毛は生えてくる。やたら伸びるのも早い。大量生産大量消費のスーパーみたいな髪である。掃除がめんどうでたまらない。

育毛などはしたことがない。毛量が多いのだ。それでなくても爆発したみたいな頭になってるのに、これ以上増やしたらアフロになりかねない。

いろいろ試してはいる。実はダイソンのエアラップもかった。部屋の掃除が楽になるならという一心で買ってみたけど減ってなかった。スタイリングは楽になったけど。

シャンプーもいろいろやってみた。インドのヘナとかサポニンを含む粉とか。アロマもやったしヘアパックもした。ヘアサロン専用のやつも使った。髪の艶はよくなったし扱いやすくはなった。それだけであった。

もう諦めの境地である。致し方ないことはあるものだ。掃除したのにここに髪の毛が落ちてるとか見なかったことにすりゃいいのだ。

そして、数日前、たまたまタングルティーザーが安売りしていたのを見かけた。なんかやたら評判のいいブラシだ。安売りしてたというだけで買った。

抜け毛が激減した。

おそらく、頭皮に適度な刺激を与えるから効果があるのだと思われる。しかも髪の艶が増した。これはどうでもいいんだが、掃除が楽になるのはほんとに助かる。タングルティーザーは神である。ありがとうタングルティーザー。