例えば。
他人と違う感覚を持ってるとして、「自分の感覚が他者と異なっている」と気づくのはいつなんでしょうね。
ひょっとしたら死ぬまで気が付かないかもしれません。
アメリカに、やたら耳が聞こえない人の多い島があったそうです。あんまり多いんで、島中全員が手話を使って話している。それが当たり前なので、誰も手話が特別とか思ってなかったとか。
ちょっとセンシティブな話をすると、色の見え方なんてのも人によって違うだろうとわたしは思っています。
いい例が白と金、青と黒に見えるってあのドレスの画像。
世界中でもめましたねえ。
色違いドレスは世界中の人が見たから揉めたわけですが、誰も知らなかったら気が付かれなかったかもしれません。
今月のパンシザ読んでそういうことを思い出しました。
仮に『死』や『運命』を感じ取ることが出来るとして、じゃあそれをどうやって他人に伝えるのか。
伍長なんかは特に自分のことを語らないキャラなので、大佐が頑張って説明してくれています。
『死』を伍長は聴覚で感じてるんじゃないか、と。
このコマに、『toten sie(ウムラウト省略)』といつもの伍長の幻聴が書かれてるわけです。
伍長が寝てる時だいたい聞いてるやつ。
この幻聴、伍長に「殺せ」って命令してる声だと思いますが、だから伍長は死を聴覚で感じるようになったんじゃないでしょうか。
それはそれとして、大佐は超自然的なものは戦場に存在してほしくないと言ってます。潔いですね。
わたしなどはよく自分のことを不運の一言で棚上げにしてますが、大佐は戦場の死も勝利も自分の責任だと受け止めているんでしょう。
話を戻すと、パンシザ世界の科学で説明できない感覚、大佐のことばをかりれば『神秘』に属する感覚は、人間の受け止めきれない情報を頑張って人間に知覚できる感覚に変換してる感じでしょうか。
知覚って人類単位で見ると割と多彩で、有名どころだと4色型色覚。普通の人よりやたら色が多く見えるって人たちがいます。前に書いたかもですが、たまに人間の可聴域超えた音波が聞こえる人もいます。
伍長だと、『ランデル・オーランドの見る風景(16巻)』で、すでに視界に入ってくる『声』を見てますね。共感覚の中だと色聴ってタイプです。
とはいえ幻聴に色を感じるってのは共感覚かどうか微妙な判定です。幻聴ってのは、たしか「これは幻聴じゃないか」と疑ってると違うらしいですね。わたしは医者じゃないんで確かなこといえませんが。
伍長が実際に『toten sie』と『聞いている』のであれば、共感覚判定していいんじゃないでしょうか。それが幻聴であれ、伍長本人には音として聞こえているのですから。
そしてラスト。少尉!
かわいい。かわいすぎる。
しかも顔を俯けてうなじを触るとかいうキュートポーズ。うなじって無防備じゃないですか。そのうなじをちょっと触って、目線はぼんやりした感じなのがはかなげというか、年頃の女の子っぽくていいですね。かーわーいーいー。
頬の線なんか5センチくらいありそうなのに鉛筆線みたいな柔らかさがあっていい。
閑話休題。
少尉は未来の感知ができるという設定は最初からあります。伍長と出会った時もそうですね。うなじが痛くなるというやつ。
正直戦車戦では「ニュータイプか種割れか」というくらいの性能を発揮してましたね。
少尉は「痛み」で、運命を悟っている。これが伍長の死を感じ取る「聴覚」や、青い炎を見ている人たちの「視覚」と同様だ、と来ました。
伍長と少尉は対で設定されてますが、もはや駄目押しのごとくに押しが来ました。潰されそう。
個人的にちょっと気になったのは、大佐が伍長を自分の隊に勧誘しなかった理由でしょうか。奥さんが怖いだけじゃなくて他にも理由があるみたいですけど。