2025年1月号感想

突然ですが、パンシザの絵で結構変わったところって、主線の描き方かなあと思います。

原画展に出してある原稿の時代でも主線が太く、下書きの鉛筆線がはっきり残るくらいに筆圧が高いタイプの絵なんですが、後期になると主線を複数描いて斜線を入れるって描き方になります。

他人が1回で済むことを10回くらいやってるわけですね。そりゃ時間かかるわ。いやたぶんブラシとかに登録してるんじゃないかと思いますけど。

しかも今月は見開きが2回。

話の主軸としては、伍長の光の正体ですね。これはもうわたしの予想が全部はずれて、脳で見てる。ここまでくると脳のネットワークとか、量子脳理論とかのレベルです。

量子脳理論はペンローズって物理学者が書いた『心は量子で語れるか』ってブルーバックスに内容がありましたが、わたしはこれを読むのに3年かかって理解できなかったので語れません。以上。

ただ、来月また違う見解が来るかもしれないし、また未来に別の話がくるかもしれないので保留としておきます。

そんで絵の話に戻りますが、今月は見開きで戦車のバックショットがありました。この漫画、当たり前ですがやたら戦車が出てきます。

戦車の映える描き方ってたぶんアオリの正面じゃないかと映画のポスターみてる限り思うんですが、この漫画に限ってはあんまし正面構図ないですね。

いい例が22巻の『蠍の王冠』が出てきたシーン。フェンネル・マクローナン・ボルコヴィルの3大佐が撃たれたところです。

普通なら正面から描くと思うんですよ。見せ場だから。でも、斜め上から描いてて、しかも砲塔も斜めってる。あんまり見ない構図です。まあ戦車漫画ってこれとリボンの武者の1巻くらいしか見てない気がしますが。

片寄った読書歴はともかく、構図には理由があります。砲塔が斜めなのは、3大佐がいる場所を狙ってるから。地図上で見ると、王冠は西にいて、大佐たちは北にいます。なので、どーしても砲塔が正面から斜めにならざるを得ない。

わたしは以前見取り図を考察で出したんですが、王冠の位置と大佐たちの位置の割り出しには砲塔の向きも参考にしています。

で、ここからが本題というか、パンシザの気が狂ってるポイント。

おそらくパンシザは背景を地図から逆算して描いてます。

全コマの背景じゃないと思います。さすがにわたしも全コマ確認するのは無理。

わかりやすいところだと、先月(2024年12月号)の4ページ目と3ページ目があります。

4ページ目に、伍長と戦車隊が書かれた簡単な地図があります。

この地図もまた狂ってることに、道が斜めだったり、曲がってたりします。

「べつに道が曲がってたり斜めなのはよくある話じゃない?」

はい、現実ではよくある話です。じっさいわたしの家も深山幽谷の果て曲がりくねった小道の先にあります。

これを漫画に描くとなるとまた話は別になります。

ぶっちゃけると、斜めや曲線なんてのは、背景で書きたくないものの筆頭です。

しかも背景となるとパースが入るので、倍率ドンで難易度が上がります。建物パースとか、かけるだけでメシが食える人もいます。印刷屋時代、建物パースの実物が来て、

これに傷つけたら裏の川に沈める」と上司が言ったことがあります。それくらい貴重なものです。

まとめると、曲線や斜めが入った建物はプロでも描くのがむずかしい。

なのに、わざわざパンシザでは地図で斜めや曲がった道の地図を設定して、いちいちそれに従って背景を描くことがある。

札幌や京都みたいに碁盤状の街ならめちゃくちゃ楽なのに。つーか、現代もので写真取ってトレスできるならともかく、ファンタジーで苦難の道を選ぶこだわりがすごいですね。

どんだけ世界観が出来上がってて、それに忠実に描いてるかってことです。

話を戻すと、先月号の4ページを見た後、3ページ目のラストコマ見てください。

建物によって、窓の枠が斜めってるのがわかると思います。建物が正面に対して斜めになってるからです。

パンシザは地図がちょくちょく出てきます。把握してる限りだと、カルッセル・帝都(一部)・0番地区があります。

で、各話ごとに背景の大ゴマには、地図をもとにして書き起こしたっぽいところがあります。

画像はれたら楽なんですけど、わたしは使わない主義なので、気になる人は年末年始に探してみてはどうでしょう。

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