三角関数には恨みは数々ござる。だいたいなんだよサインとかコサインとか。ちゃんと日本語使えよ。正弦とか余弦とかあるだろうが。
これで高校の時赤点をとり、そして大学行ったら父親に「お前CAD覚えろ」とか言われて資格取らされたんですよね。
このCADの資格にまた三角関数。そして1級は落としました。なにがムカつくって、それまで三角関数が出題されてたのに、わたしのときから「パソコン使うのに筆記で三角関数解くとか無駄じゃねえ?」という至極まっとうな意見が通ったらしくて消えたんですよ。過去問対策がゼロになって不合格。だいっきらい。
だいたい三角関数なんて高校でやるのは明治の御代に軍隊で使いたいから押し込んだんだ、という俗説を聞いたことがあります。ぐぐったらそんな俗説は消えてましたが、三角関数ができないと大砲は撃てません。はい本題に入りました。
伍長がアインシュスの位置をどう特定したか、という流れですね。音でだいたいの距離と方向がわかるから、だけでなくてきちんと理屈をつけてくるのがパンシザらしい。
そもそも伍長、耳はいいんですね。いつもドア・ノッカーで戦車をカリカリしてますが、あの反響で人の場所を特定できています。戦車関係は砲声で難聴になる人が多いのによく耳が持ったもんです。
アインシュスの音が金属で金属を絞め殺すような甲高い音ってのも描写されていました。
だからおそらくアインシュスのあった場所は言語の塔の上層から中層階上部とまで言い切れる。
これを尋ねてるブランバルド大佐と伍長見てると、伍長が手をもじもじさせてるところが本社のえらいさんと会話してるバイトみたいでかわいい。
ブランバルド大佐が伍長を詰めてるのは、伍長がサソリ側の人間かどうかの確認ですね。本来、アインシュスの場所はサソリ側しかしらない話です。
義妹のアリスの目は信用してるでしょうが、人間というのは本人しらないうちに裏切ってることもありますから。伍長なんか本人知らない間に兵隊になってたわけですし。
しかし伍長はアインシュスの場所を特定した理由をちゃんと言語化できて、その上その理由が納得できるものだった。これで疑いは解けたし、兵隊として伍長が有能すぎるほど有能だということを大佐たちは理解してくれたわけです。
しっかし2メーター以上の巨体といい、901として使い捨てるにはほんと惜しい人材を901に送り込んだもんです。まだ若い頃の伍長だと、今ほどは背が高くなかったような気がしますが。
それにしても伍長は狙撃とかできるんでしょうか。三角関数とか習ってないとなかなか難しいような気がしますが、表とか持ち歩いてたりして。
さて先月の話にちょっと戻ります。
ケルビムといい伍長といい、この話には『個』を捨てようとしてなかなかそうは行かない人たちが出てきます。この『個』を捨てようってあたり、きっかけが『そのように育てられたから』だったり『人殺しは個を持つ価値がないから』であったりしても、現代ではなかなか思いつかない視点だと思います。
なにせ現代は承認欲求すごいじゃないですか。すこしでもいいねを稼ぎアクセス数を欲しがり、「誰かにわたしを見て欲しい!」「Look at me!」って叫び続けてる。
それなのに『自分を捨てよう』という考え方はなかなか出てこないと思います。
潔いくらいに自分を切り捨てる。
それでも、切り捨てられるわけがなく、自分は自分であると、泡のように儚くともいいきるようになる。
そういう優しさがあるんだと思います。