令和4年8月9日、シウマイ弁当の変が起こった。
崎陽軒当局より、マグロの確保が難しくなったことから一定期間鮭に変えると発表されたのだ。
神奈川県民はこれを「シウマイ弁当の変」と呼んだ。
与太はともかく、崎陽軒とシウマイといったら神奈川県民のソウルフードである。
もともと、神奈川県民はあんまり地元愛があるほうではない。
ぶっちゃけると、わりとみんないろんなところから来ていて住み着いてるものだから、みんなよそ者みたいなところがある。
ところがだ。その神奈川県民が、崎陽軒のこととなるとブチ切れた。
時は2019年8月。タレントのマツコ・デラックスさんが、N党を出演番組内で批判。これに対し同党の党首は、出演番組のスポンサーである崎陽軒の不買運動を開始した。
「マツコの番組に金を出す崎陽軒は不買だ!」
これに神奈川県民は切れた。
われわれの崎陽軒に何をいうのだ。われわれは崎陽軒のシウマイで育ち、節目の行事では必ず崎陽軒の弁当がくばられ、いい年になるまで崎陽軒は全国にあると信じて育ってきた。
しかるにその母なる崎陽軒に対して文句とはなにごとか。許すまじ。
というわけで大批判が起き、党首は8月19日に謝罪。
……崎陽軒恐るべしである。
神奈川県というところは政治的にも中立過ぎて、全国の無党派層の代表みたいな土地である。
横浜フリューゲルスもいるし横浜ベイスターズもいるが、地元のファンは多くない。
これが崎陽軒のこととなると県民一致して怒ったんだからすごい。正直私だってムカつき、崎陽軒の弁当を買って帰った。
崎陽軒はどこも結構売り切れていた。考えることは皆同じだ。
まあ、みんなが崎陽軒に肩入れしたのは、やっぱり子供の時から食べ慣れていて、大人になってもたまに食べたくなるそういうポジションだからだろう。
期せずして県民は自分たちの愛郷心は崎陽軒にあると知ったわけだ。
私もなんとなく子供時代から崎陽軒のシウマイを食べて育った。大人になって、一回好きなだけ崎陽軒のシウマイを食べてやろうと思いシウマイ弁当と15個入りシウマイを買ってきたことがある。
いや、さすがに多すぎた。
崎陽軒のシウマイのいいところは冷たくてもおいしいところだ。むしろ冷たい方がおいしいかもしれない。上にグリンピースはなく中に入っている。
辛子と、今は無くなってるが「ひょうちゃん」という瓢箪型の醤油差しが楽しい。
ひょうちゃんから、これまた工夫された醤油入れの箱のなかに醤油を垂らし、辛子を次の仕切りに入れてからシウマイを食べる。
辛くしてもいいし、醤油だけでもいい。
みっしり詰まった肉は筋肉質とさえ言える。満足感が高い。
「やっぱシウマイは崎陽軒に限るわ」と思うのだ。
ところで崎陽軒の「崎陽」とは、漢文で長崎のことだったりする。神奈川関係なかった。
参考・産経新聞 『N国・立花党首がMX前で抗議活動 崎陽軒には「ごめんなさい」』https://www.sankei.com/article/20190819-TAMFW4NTRBNWXOAWMBXKI4HZ64/